立派に成長し、卒業の時を迎えた生徒たち。そのはなむけとなるよう、袴姿という特別な装いで式典に臨み、門出を見送ってあげたい…。そうお考えの先生は、多くいらっしゃると思います。そこで、先生へのおすすめ袴スタイルの中から「訪問着×袴」の着こなしをご紹介。中でも今回ピックアップするのは、袴と合わせることを前提に仕立てられた、袴専用の訪問着。一般的な訪問着を用いる場合との違いや独自のメリットについてご紹介します。

 

【目次】


▼ 卒業式に臨む先生は、どんな服装がふさわしい?

 

▼ 訪問着はどんな着物なの?袴専用の訪問着もあるの?

 

▼ 先生が押さえておきたい「訪問着+袴」の着こなしマナー

 

▼ 先生におすすめ!袴専用訪問着+袴のコーディネート例

 

 

卒業式に臨む先生は、どんな服装がふさわしい?

数ある学校行事の中でも、学業を無事に修めた生徒が巣立っていく卒業式は、とりわけ重要な行事です。生徒にとっても先生にとっても大きな節目の行事であり、来賓や保護者の方々も参加する中、厳かな雰囲気で式典が執り行われます。そんな特別な場面に、どんな服装で臨むべきか、TPOに合った服装とはどんなものか…と悩んでいる先生もいらっしゃるのではないでしょうか。

 卒業式

 

「式」と名のつく行事では「正装」が基本

卒業式に限らず、「式」と名のつくような行事では、冠婚葬祭と同様に礼装で臨むのが望ましいと言えます。これは洋装でも和装でも同じで、礼装という格式の高い装いをすることで、その場面や人に対する礼儀や敬意を表すことになります。また、礼装には品格が高い順に「正礼装」「準礼装」「略礼装」という種類があり、どの装いがふさわしいかは、催される行事や式のスタイルや、参加する当事者の立場によって変わります。卒業式に臨む先生の場合は、校長や教頭といった役職にあるかどうかや、卒業学年のクラス担任か、在校学年の先生かといった違いでも変わってきます。

 

主役は生徒。先生の装いは主役より控えめが◎

卒業式の場合、きちんと整った礼装で臨むのがふさわしいという点は生徒も先生も同じですが、卒業式の主役はあくまで生徒です。そのため、先生が主役より目立つような装いをするのはNG。これは衣装だけでなく髪型やメイクも同様なので、あまり張り切り過ぎず「控えめ」を意識するようにしてください。

先生の場合、正礼装〜準礼装にあたる服装で臨むことになると思いますが、卒業式では黒やダークカラーのスーツスタイルの他に、和装の袴スタイルもよく見られます。袴スタイルの場合、色留袖、小振袖、訪問着、色無地あたりの着物を合わせるのが一般的で、これらの着物は色も柄も実にバリエーションが豊富です。この点は、黒、紺、グレーなどの色が主流のスーツスタイルと大きく異なり、どれにしようかしら♪と心が踊るところですが、主役よりも目立つことがないよう心がけてください。

なお、着物はその種類と紋の数によって格の高さが違ってきます。どの格の着物を着るのがふさわしいかは、先生の立場によって異なりますので、選ぶ際はまわりの先輩教師やお店のスタッフに相談した上で決められることをおすすめします。

 

卒業式での袴スタイル。先生がやっても問題ないの?

先生が卒業式に臨む場合、服装は場にふさわしい「礼装」で、主役である生徒より「控えめ」に装う、というポイントは理解したものの、新たに「先生が卒業式に袴を着るのはアリなの?」と疑問が湧いてきた方もいらっしゃるかと思います。ですが、その点はご心配なく。実は、その歴史的な背景を見てみると、袴は学業の場との結びつきが深く、卒業生だけでなく先生が着用するのにもふさわしい衣装と言えるのです。興味のある方は、以下の記事でさらに詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

先生の袴スタイル

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訪問着はどんな着物なの?袴専用の訪問着もあるの?

女性の先生が袴を着用する際に合わせることが多い着物の1つが「訪問着」です。訪問着とはどんな着物なのか、その特徴を解説するとともに、ここでは袴専用に仕立てられた訪問着についてもご紹介。特徴や利用メリットを詳しくお伝えします。

 

訪問着は活用の幅が広い、使い勝手の良い着物

フォーマルな場にふさわしい「礼装」に分類される訪問着ですが、格の高さで言うと、準礼装にあたります。どんな帯や小物を合わせるかによって、フォーマルな場面でも、ややカジュアルな場面でも、幅広い用途で着用できる点が特徴です。また、年代や未婚・既婚に関係なく着ることができます。

訪問着の特徴

デザイン的な面では、肩から胸や袖にかけてや、腰から裾にかけて、着物の縫い目にかかわらず1つの絵のように美しくつながった模様(=絵羽模様)が描かれている点が特徴です。黒留袖や色留袖も、同じように絵羽模様で柄付けがされる着物ですが、訪問着だけは上半身にも模様が描かれるという点が大きく異なります。そのため袴に訪問着を組み合わせても、上半身の模様は隠れることなく、コーディネートに活かすことができます。なお、描かれる柄は、伝統的な古典柄から現代的なテイストを取り入れたモダン柄まで様々。デザインのバリエーションが豊富な点も訪問着の特徴と言えるでしょう。

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レンタル店には袴専用の訪問着があるケースも

訪問着は本来、そのまま一枚で着用できる着物です。そのため、裾の長さは身長より長いのが通例ですが、袴と合わせて着る場合は、その長い裾がかえって邪魔になります。着付ける際は、一枚で着る時よりも裾を大幅にたくし上げる必要があり、この長さ調整(=おはしょり)が大変なだけでなく、着ている本人も動きづらいというデメリットが発生します。そのため、衣装レンタル店では袴と合わせることを前提に作られた、卒業式向けの袴専用訪問着が用意されているケースがあります。袴に特化しているため、裾の長さが通常の訪問着よりだいぶ短めで、腰まわりもスッキリと着付けやすいのが特徴です。手持ちの訪問着がある方は、それを活用されると良いですが、卒業式用にレンタルをお考えの方は、こういった袴専用の訪問着を活用するという選択肢もあります。

卒業袴専用の訪問着

 

袴専用の訪問着。先生にとってどんなところがメリット?

通常の訪問着と比べ、裾丈が短いことが特徴の袴専用訪問着ですが、卒業式に出席される先生にとって、どんなメリットがあるのかをみていきます。

 

◆スムーズに支度が進み、時間と心に余裕が生まれる

袴専用の訪問着は、裾をたくし上げて長さの調整(=おはしょり)をする作業がしやすいため、着付けに要する時間の短縮が見込めます。そのため、自分で着付けを行う場合も、美容室などで着付けてもらう場合も、スムーズに支度を終えられるでしょう。先生の場合、卒業式当日も学校での準備作業があり、時間に追われがちだと思いますので、時間に余裕ができることは心理的な面でも大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

 

◆着物を着慣れていない人でも失敗のリスクが少ない

たくし上げる生地が少なくて済む分、袴専用の訪問着は腰まわりがもたつきにくく、動きやすいのも魅力です。袴はスカート状の構造になっているため、他の着物と比べるとトイレの仕方がラクな方ですが、それでも着慣れていない人にとっては難しいものです。おはしょりの部分が邪魔でトイレに想定外の時間がかかってしまった、誤って裾の部分を引っ張って着崩れを招いてしまったなどのトラブルも予想されます。ですが、腰まわりの着付けがスッキリしていれば、そんな失敗のリスクも軽減でき、安心して卒業式に臨むことができるでしょう。

 

◆リーズナブルな料金設定で負担が軽く済むケースも

さらに袴専用の訪問着は、レンタル料金が安価な場合があります。それは、素材にポリエステルなどの化学繊維が採用されているケースです。訪問着に限らず、着物には絹100%の正絹素材が用いられることが多いのですが、絹は非常にデリケートな素材です。加工にもお手入れにも手間暇がかかるため、そのぶん料金が高くなりがちです。そこで、大量生産がしやすく、お手入れも簡単なポリエステルが用いられるケースがあり、この場合、料金は絹よりもリーズナブルな傾向にあります。卒業式のあとには入学式が控えており、しかも毎年の行事となると、衣装代だけでも経済的な負担が増えがちなので、先生にとってリーズナブルな料金設定はうれしいポイントと言えるのではないでしょうか。

 

 

先生が押さえておきたい「訪問着+袴」の着こなしマナー

通常の訪問着であっても、袴専用の訪問着であっても、格式の高い礼装であることは変わりありません。難しいな…面倒だな…と感じる部分もあるかも知れませんが、来賓や保護者の方々が大勢いらっしゃる中、恥ずかしい思いをしないためにも、マナーをきちんと押さえた着こなしで卒業式に臨みましょう。

 

先生のための「訪問着+袴」コーデの注意点

訪問着は、よほど豪華な柄行でない限り、紋を入れることはほとんどありません。格式は準礼装が一般的であり、最上級の正礼装にはあたらないため、学校のトップを務める校長先生、その補佐役である教頭先生といった、高い役職に就く先生にとっては不向きとなるでしょう。ですが、クラス担任の先生など、校長や教頭先生よりも格を抑えた方が良い場合には逆に好都合。絵羽模様の美しさを活かした上品な袴スタイルが楽しめます。その際、裾まわりは袴で隠れてしまうので、肩や胸、袖の部分のデザインで選ぶのがポイントです。

ただし、派手な印象になるのを避けるため、パキッと彩度の高い色よりも淡く柔らかなトーンの色、インパクトのある個性的な柄よりも優しげで繊細な柄といった、主張を控えた訪問着を選ぶのが無難です。また、合わせる袴もシンプルな無地がおすすめ。濃紺や紫、深緑やエンジなどのベーシックな色を選ぶと、落ち着いた印象のコーディネートに仕上がります。刺繍入りやグラデーションカラーの袴の場合は、あまり広範囲でないもの、穏やかなトーンのものを合わせると品良く見えるでしょう。

 

先生のためのヘアーメイクのヒント

ヘアーメイクに関しては、卒業式はお辞儀をする機会が多いので、その都度、直さなくていい髪型にするのが良いでしょう。ロングヘアであれば、和装の基本でもあるアップのまとめ髪にするのがおすすめです。髪飾りはシンプルなもの、小ぶりなものを合わせ、全体的にスッキリと清楚な雰囲気に仕上げましょう。

メイクはノーメイクや薄化粧だと寂しく見えてしまう場合があるので、晴れの場にふさわしい華やかさを感じるメイクにしましょう。ただし、パーティーメイクのようにラメやパールでキラキラさせるのはNG。和装にはミスマッチでチグハグ感が出てしまうので気をつけてください。

 

なお、衣装のコーディネートにしてもヘアーメイクにしても、学校や地域ごとに慣習があり、それぞれにNG項目が違ってくることが考えられます。卒業式当日に対処できることは限られてくるので、まわりの経験豊富な先生に事前に確認した上で準備を進めるのが安心です。

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先生におすすめ!袴専用訪問着+袴のコーディネート例

訪問着と袴を合わせる卒業式スタイルについて、選び方や着こなしのポイントを解説してきましたが、この最後の段落では具体的なコーディネート例をあげてみます。なお、ここでご紹介する訪問着は、丸昌 横浜店で取り扱っている袴専用の訪問着です。同一の訪問着でも、合わせる袴次第で雰囲気がガラリと変わるので、ご自身のコーディネートの参考にしてみてください。

 

コーデの基本は「同系色」or「反対色」

具体的なコーディネート例をご覧いただく前に、コーディネートの基本的な考え方についてお教えします、袴スタイルは、着物と袴の上下の組み合わせで完成しますが、この時の色合わせを「同系色」にする、または「反対色」にするのが基本です。

 

◆調和のとれた「同系色」コーデ

同系色コーデとは、水色の着物に紺色の袴、クリーム色の着物にカラシ色の袴といった組み合わせです。青系、黄系と近しい色でまとめることで全体がすっきりと調和し、上品で落ち着いたコーディネートになります。普段からあまり色数を使わないシンプルなスタイルを好まれる方は、同系色コーデがしっくりくるかも知れません。また、落ち着いた印象になるので、先生向けの控えめコーデとしてもぴったりです。

 

◆メリハリがつく「反対色」コーデ

反対色コーデとは、ピンク色の着物に緑色の袴、青色の着物にオレンジ色の袴といった組み合わせです。お互いの色が引き立て合う関係にあり、全体的にメリハリのあるコーディネートになります。目を引きやすい配色になるので、先生が反対色コーデをされる場合は、淡く穏やかなトーンの色同士が良いでしょう。彩度の高いビビッドカラーを合わせると派手な印象が強くなるので避けた方が無難と言えそうです。

袴コーディネート_配色の基本

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同じ訪問着でも、袴次第で印象がガラリと変化

同じ訪問着であっても、合わせる袴が同系色か反対色かでコーディネートの印象は大きく変わります。また、同系色であっても濃く暗めのエンジ色なのか、淡く明るいピンク色なのかによっても印象に差が出ます。これが袴のコーディネートの難しさであり、面白さでもあるので、ぜひイメージを膨らませながら理想のコーディネートを実現してください。

 

【Case01】

青系の訪問着の「同系色」コーデと「反対色」コーデ

紺色の袴を合わせた「同系色」コーデは清々しくすっきりとした雰囲気。寒色でまとめているのでキリリと引き締まった印象になります。カラシ色の袴を合わせた「反対色」コーデは明るく華やかなイメージ。反対色の組み合わせではあるものの、訪問着の色が穏やかなトーンなので優しげな印象になります。

青系の訪問着_コーディネート例

 

【Case02】

緑系の訪問着の「同系色」コーデと「反対色」コーデ

濃紺の袴を合わせた「同系色」コーデはシックで落ち着いた印象。着物も袴も濃く深い色合いのため重厚な雰囲気があります。エンジ色の袴を合わせた「反対色」コーデは、落ち着いた雰囲気の中にもパッと目を惹く華やぎが感じられます。

緑系の訪問着_コーディネート例

 

【Cace03】

袴の色の濃淡でも大きく変化するコーデイメージ

上段下段どちらのケースも、訪問着は同じものですが、合わせる袴の色によって印象が変わります。濃く暗い色の袴の場合は重厚なイメージに、淡く明るい色の袴の場合は、柔和なイメージになります。

袴の色の濃淡で変わるコーディネート例01 袴の色の濃淡で変わるコーディネート例02

 

【Case04】

着物の柄の中の1色と袴の色を揃えるとコーデバランスがアップ

色の組み合わせがなかなか決まらない!という場合は、同系色、反対色と深く思い悩まず、着物の柄の中から1色を選び、その色と袴の色を揃えたコーディネートを試してみましょう。色によって統一感のあるコーデになり、全体がバランスよくまとまるので、いくつか色を試しながらイメージにあった組み合わせを選んでみてください。

着物の柄の中の1色と袴の色を揃えるコーディネート例01 着物の柄の中の1色と袴の色を揃えるコーディネート例02

 

 

最後に

訪問着は正礼装に該当しないため、校長や教頭など高い役職に就いている先生の場合は難しい場合もあると思いますが、袴と組み合わせれば、とても素敵な卒業式の衣装になります。その上品な華やかさは、卒業という晴れの日を祝うのにふさわしく、先生の特別な袴姿は生徒の想い出としても残るでしょう。卒業式はどんな衣装で臨もうか…と悩んでおられる先生は、ぜひ訪問着+袴のスタイルを検討なさってください。

 

晴れ着の丸昌 横浜店では、着付けやすさ、動きやすさに配慮した、袴専用の訪問着もラインナップしております。通常、丸昌 横浜店で取り扱う訪問着は正絹素材となっておりますが、袴専用の訪問着はなめらかな風合いのポリエステル素材です。そのため、料金は正絹の訪問着よりもリーズナブルな設定になっております。和装が不慣れな方、予算をできるだけ抑えたい方はお気軽にご相談ください。なお商品のレンタルは、着用に必要な小物類まで一式揃ったフルセットの他、袴だけの単体もございますので、ご都合に応じてご利用ください。また、会員登録をしていただくとレンタル料が15%オフになる先生会員割引もございますので、ぜひご活用ください。

 

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