卒業式当日は、着崩れてしまったり、着物が汚れたりと思わぬ事態があることも…。知っておくと心強いトラブル時の対処法をまとめました。
襟元がたるんできたら?
着物や袴が着崩れないようどんなに所作に気を付けていても、防げない場合はあります。でも、少し着崩れたときに自分で応急処置ができると安心ですし、大きく着崩れることは避けられます。
特にたるみやすく、人目にもつきやすいのが着物の襟元。ここでは簡単な直し方のポイントをご紹介します。
まず、袴の右脇から右手を入れて着物の襟先部分をつまみます。左手で首元の襟の部分をしっかりと押さえながら、右手を丁寧に引き下げて整えます。
襟元は、前にかがんだときに広がってたるみやすいので、物を落として拾った後など、たるみがないか確認するといいでしょう。
※着物のおはしょりがない場合で説明しています。
袴が下がってきたときは?
次にご紹介するのは袴の直し方。ありがちなのは、袴が下がって裾を引き摺ってしまうケースなのですが、そのときは帯が下がっていることが多いので、帯ごと上に持ち上げてみましょう。持ち上げる際には、袴の右脇から右手を入れて着物を下に引っ張りながら、左手で帯と袴を同時にぐっと持ち上げることがポイントです。
それでも変わらない場合は、帯の結び目をほどいて、帯の結び目やリボンを作り直してみてください。
※着物のおはしょりがない場合で説明しています。
着物や袴を汚してしまったら?
着物や袴はとてもデリケートな素材です。汚れの種類や程度、ついた箇所によっては、完全に元通りにすることが困難な場合があるため、汚れがつきやすい液状のものはできるだけ避ける方が無難です。例えば、食事のときは汁物やソースやドレッシングを使ったメニューなど、汁はねが気になるメニューは避けておきましょう。
もし汚れてしまった場合は、決してこすらないようにしましょう。汚れの種類に応じた応急処置をして、脱いだ後はなるべく早く着物またはクリーニングの専門店に、レンタルの場合は借りたお店に相談しましょう。なおレンタルの着物は、不測の事態により汚れやしみが生じた場合に備えて、保証サービスを展開しているお店もあります。不安な場合は、事前にお店に確認してみるとよいでしょう。
ジュースやコーヒー、アルコール類などの飲み物、しょうゆ、血液などがついた場合の応急処置は、しみの下に乾いた布を置き、硬く絞ったおしぼりやタオルなどでそっとたたいて吸い取ります。その後、乾いた布でたたいて水分を十分に吸い取っておきましょう。
化粧品や油の汚れは、その場では手をつけない方がベターです。レンタルの場合は、返却時にお店に伝えましょう。自分の着物の場合は、脱いだらすぐにクリーニング店に出しましょう。時間がたつと、しみが抜けにくくなるので早めの対応が肝心です。
下手な手当が逆効果になることもあるので、汚れが取れない場合は無理に取ろうとせず、専門家に任せたほうが安心です。クリーニング店やレンタル店に渡すときには、汚れの箇所や種類を正確に伝えるようにしましょう。
雨や雪で着物や袴が濡れたときは?
当日、あいにく雨や雪の日に当たってしまうことも。そんなときは、なるべく着物や袴を濡らさないように気を付けましょう。でも、防水スプレーを使うのはNG。スプレーの成分で生地が傷んでしまうことがあるので、使わないようにしましょう。歩くときは雨水や泥がはねないように内股気味に小さな歩幅で。移動のときは外を歩くのはできるだけ避け、車などを利用しましょう。
着付けやヘアーメイクを美容室やレンタル店が準備したお支度会場でやってもらう場合は、その場所まで雨に濡れないで行けるか、利用する電車やバスなどの交通機関は近いか、式典会場まではどのくらいの距離か、どんな立地なのか確認するもの忘れずに。
用心していても雨や泥はねがついてしまった場合は、乾いたハンカチやタオルなどでそっとたたいて吸い取りましょう。決してゴシゴシ擦らないよう注意してください。
広範囲に濡れてしまった着物や袴は、脱いだ後になるべく早く干して乾燥させましょう。濡れた部分がしみになったり、縮んでしまったりすることもあるので、着物やクリーニングの専門店に見てもらう方が安心です。レンタルの場合は、返却時に濡れたり泥はねがついたりした箇所を伝えましょう。