学生生活のラストを飾る卒業式。華やかな袴スタイルで臨む人も多いことでしょう。当日は、仲のいい友達や後輩、お世話になった先生などと、たくさん記念写真を撮ると思いますが、ここでは「袴姿」で「自撮り」する時に、注意したいことをご紹介したいと思います。せっかくの袴姿を、良い想い出として残すためにも、ぜひチェックしてくださいね!

 

着物の「前合わせ」に注意しよう!

袴スタイルに限らず、着物を着用する場合は左右の身頃を重ね合わせ、その状態で帯を結びます。これを前合わせと言いますが、身頃の重ね方には和装特有の決まりごとがあります。それは、右前(みぎまえ)と言われる、先に自身の右手側の身頃を体に合わせ、その上から左手側の身頃を重ねる着付け方です。

着付けは右前

 

左身頃が上になるのなら、左前じゃないの?と思うかも知れませんが、ここで言う「前」は、時間的に前=「先」の意味を表しています。振袖や浴衣…など、着物の種類が違っても、男性でも女性でも、右前で着付ける決まりは変わりませんので、ぜひ覚えておいてくださいね。

 

 

「自撮り」すると前合わせが逆になる?

卒業式で袴を着用する場合、美容室やレンタル衣装店などの着付けサービスを利用する人が大多数だと思うので、前合わせを間違う心配はほぼないでしょう。ですが、正しい前合わせで着付けていても、意図せず逆の前合わせになってしまうケースがあります。それがスマホで自撮りする場合です。

 

スマホで自撮り

 

やったことのある人はご存知だと思いますが、スマホで自撮りすると鏡と同じように左右が反転した状態で撮影されます。当然、右前で着付けた着物も左前になってしまいます。多くの場合、撮った画像を保存する際に反転し直されるので問題ないのですが、一部の機種やカメラアプリによっては反転のままの保存がデフォルトになっています。そのため、SNSなどに投稿した写真も、左前でアップされてしまいます。

 

前合わせ_反転

前合わせが左前の状態だからと言って特に害はないのですが、左前は仏式のお葬式で故人が身につける経帷子(きょうかたびら)と言われる着物の着付け方です。そのため縁起が良くないとされ、避けるのが一般的な決まりごとです。おじいちゃんやおばあちゃんなど年配の方、カメラアプリを使い慣れてない方などが見ると「えっ?」「どうして?」となる場合があると思うので、少し注意が必要ですね。

 

 

着物の「袖口」に注意しよう!

続いて注意したいのが、着物の袖口です。自撮りする際、せっかくの袴姿がしっかり写るように、友達や先生との2ショット、3ショットがきちんと収まるように、斜め上の角度にスマホを構えて、腕をできるだけ伸ばした状態で撮ることになると思います。

 

ですが、この姿勢が注意すべきポイント。普段着ている袖の長い洋服の多くは、袖口がやや絞られたデザインが多いと思いますが、それに比べると着物の袖口は広く開いています。そのため、スマホを構えた時に腕が露わになりがちです。

 

和装では、肌が多く露出した状態はNGとされます。素肌が見えないように着こなすことが上品で美しいとされているからです。つまり、腕が露わになった自撮り写真は、和装としては恥ずかしい姿ということになります。また、素肌ではないものの、防寒用に着用したインナーが袖口からチラ見えするケースが多く、これも写真には残したくない姿です。これらは、見た相手によっては「はしたない」「品がない」と捉えられる可能性があるので、注意した方がベターと言えるでしょう。