卒業式の袴姿、最近では小学生でも珍しくなくなりました。「着せてみたいけれど、慣れない着物や袴で着崩れてしまうのでは……」と心配な方のために、小学校の卒業式に袴を着るお嬢様の着崩れ対策をご紹介します。

 

できれば事前に着て、袴に慣れておくと安心です

せっかく纏った美しい袴姿。おしとやかに振る舞って着崩れないようにして欲しいものですね。袴スタイルは着物を着た上にロングスカートを履くようなものなので、一般的な着物に比べれば、着崩れしにくいと言えるでしょう。しかし多くの小学生はロングスカートもまだ着慣れていないはずです。長い裾、長い袖をうまく扱えずに引きずってしまわないように、できれば卒業式よりも前に一度着てみて、袴スタイルに慣れる時間があるといいですね。

なかには着崩れを心配して帯をきつく締めるというケースもありますが、あまり締め過ぎないよう気をつけましょう。思春期の身体はデリケートです。式典の最中に体調が悪くなってしまっては大変ですので、着付けの際には苦しくないか確認してあげてください。

 

 

卒業式でよくあるシーン別の着崩れを防ぐ対策

卒業式当日、小学校の昇降口で靴から上履きに履き替えたり、階段を上ったり、椅子に座ったりといった、いつもの動作をいつも通りの感覚で行うと、帯の部分がずれたり、袴の裾を踏んでしまったりすることもあります。

着崩れたときに自分で直すというのは、小学生の女の子にはまだハードルが高いでしょう。それよりも、できるだけ着崩れしないような動作を教えてあげることをおすすめします。

 

シーン【1】 / 靴から上履きに履き替える

外靴を履き替えずに教室に入る学校もありますが、多くの小学校は学校の昇降口で外靴から上履きに履き替えるのではないでしょうか。ここで普段通りの動作をすると、着物の袖が床について汚れてしまいます。

着物の両袖を片手で揃えて持ち、カラダを少し斜めにしながら腰を落とすのがおしとやかですが、難しい場合は、袖を帯と袴の間に挟み込む、保護者が後ろで袖を持っていてあげるなどの方法をとりましょう。

着崩れシーン_上履きに履き替える

 

シーン【2】 / 階段の上り下り

小学校の教室に入る時、また、体育館や講堂の入り口など階段の上り下りの動作は意外に多くあります。袴は裾が長いので踏んで着崩れたり、転んだりしないよう注意しましょう。また、足元の視界が悪いので、動作はゆっくりと気をつけて行うように教えてあげましょう。

  • 上る時 … 袴の両脇から手を入れて、前を浮かせます。
  • 下りる時 … 袴の両脇から後ろに手を入れ、お尻のあたりをふんわりと持ち上げます。

 

 

シーン【3】 / 椅子に座る

卒業式当日は椅子に座って過ごす時間が多くなります。座り方によっては着崩れてしまいますので、特に注意しましょう。

腰掛けるとき、袴の両脇から手を後ろに入れて、袴を少し持ち上げながら座ります。

腰を下ろしたら、着物の両側の袖を引きずらないように重ねてたたみ、ひざの上に置きます。

座っている間に、背もたれに寄りかかると帯がつぶれてしまいます。寄りかからず、浅く腰掛けることを意識しましょう。背筋をぴんと伸ばして、両足は広げず揃えて座ると上品な印象に見えます。

  

 

シーン【4】 / 和式の女子トイレ

小学校はまだ和式トイレのところが多くあります。袴はロングスカートのようなつくりなので、トイレの際に脱ぐ必要はありませんが、袖や裾が床につかないよう注意が必要です。袴の下にタイツなどを履く場合、股上があまり深いタイプだと締めた帯に押さえられて下ろしにくくなるので、着付けの際に注意しましょう。着崩れや汚れを防ぐため、以下の手順で行ってみてください。

【1】着物の袖を帯と袴の間に挟み込むと、袖が床につく心配もなく、動作もしやすくなります。

【2】袴と着物の裾を、外側から一枚ずつめくって持ち上げ、いちばん内側の肌着で全体を包み込んで両端を結んで固定します。袴はスカートのようにたくし上げます。

【3】トイレが済んだら、逆の順番で一枚ずつ戻し、挟んでいた袖を抜きます。

【4】全身を見て乱れたところがないか、元通りになっているかを確認します。またトイレの後、手を洗う際は袖口を濡らさないように注意しましょう。

 

 

慣れない袴スタイルでも、動作に少し気をつけるだけで、着崩れしにくくなります。卒業式の前にできれば立ち居振る舞いの練習をして、式が終わるまで素敵な袴スタイルで小学校生活のフィナーレを飾りたいですね。