卒業式に袴姿で出席する小学生も増えてきました。小学校生活最後のハレの日に、着物や袴にシミを付けてしまってガッカリ…なんてことにならないよう、予防法をご案内します。また万が一、着用中に着物や袴にシミや汚れを付けてしまった時の対処法についてもご紹介します。
シミや汚れ、トラブル前にしっかり予防と対策を
トラブルを避けるいちばんの方法は、トラブルにつながる原因を事前に把握し、予防や対策を備えておくことです。シミや汚れが付くのはどういう時か、どの部分につきやすいのか、それらを知っておくことでシミや汚れなどのトラブルが起きるリスクはかなり減らせます。
汚れやすい部位に注意
袴姿の時は、シミや汚れが付かないよう、あらかじめ身のこなしに気を付ける必要があります。普段の洋服と同じ感覚でいると、何気ない動作がトラブルにつながりかねません。以下に挙げる汚れやすいシーンと部位は、特に注意してください。
特に汚れやすい部位
●食事の時に食べ物や飲み物が付きやすい胸元
→着付けの前に食事を済ませ、袴姿での飲食は避けるのがベターです。
●しゃがんだり、座ったりした時に地面に触れる袖の袂
→袂を身体の前でまとめるか、脇に挟んだ状態で腰を落としましょう。
●手で物を取ったりする時に触れやすい袖口
→物を取る手とは反対の手で、手首のあたりで袖口を押さえましょう。
●階段など段差のある場所で地面に触れやすい袴の裾
→安全のためにも、袴の裾を持ち上げながら段差を確認して移動しましょう。
手はいつでも清潔に
袂や袴など、不用意に手で触って汚れや水滴が付いてしまった、ということがよくあります。常に手をキレイにキープするよう心掛けましょう。
防水スプレーはNG
水濡れや汚れから布製品を守ってくれる防水スプレーですが、着物や袴には使用してはいけません。防水スプレーの成分で生地が傷んでしまう恐れがあります。
付けてしまったら、応急処置をして専門家に相談を
もしもシミや汚れを着物や袴に付けてしまったら、慌てず騒がず、その場で応急処置をすることが大切です。そして、脱いだらなるべく早く専門家に相談しましょう。
応急処置の鉄則
汚れを付けてしまった場合には、決してこすらない、が鉄則です。汚れた部分の下に、乾いた清潔な布を当て、水を含ませ固くしぼったハンカチなどで汚れを優しく吸い取るようにしてください。なお、油脂の汚れの場合は、その場で手をつけずに、早めに専門家に相談した方がベターです。
できるだけ早く専門家に相談
応急処置で落ちない汚れは、素人がヘタに手当をすると逆効果になってしまうこともあります、できるだけ早く専門家に任せましょう。
自前のものなら着物店やクリーニング店、レンタルの場合は借りたお店に見てもらいます。いずれにしても汚れの付いた場所や種類を正確に伝えることがポイントです。
レンタルの場合はシミや汚れの保障サービスがレンタル料金に含まれていたり、オプションで付けられることもありますので、借りる際に確認しておくとよいでしょう。
食事の際には汁ハネに注意
小学校を卒業するお子様にとって、慣れない着物での食事はひと苦労。普段はマナーを守れるお子様でも、袂がじゃまになったり、帯が苦しかったりで、おいしく味わうのは難しいかも知れません。できれば袴姿で食事をしなくて済むようなスケジュールにしてあげましょう。
どうしても食べなければいけない時は、食事用のナプキンや大判のハンカチなどを着物の衿にはさむように付けておくと、食べこぼしや汁物の液ハネ対策になります。汁物やソース、ドレッシング類などは汁ハネの原因になりますから、できるだけ避けましょう。
また、少し離れた場所のお皿やグラスなどに手を伸ばす際は、袂が汚れないよう、片手で袖口を押さえるよう注意してあげてください。
食事の汚れの応急処置
ジュースなど飲み物や、しょうゆ、血液などが付いた場合は、シミの下に乾いたタオルなどの布を置き、濡らして硬くしぼったおしぼりなどでそっと叩いて吸い取ります。その後、乾いた布で叩いて水分を十分に吸い取っておきましょう。この時、水に濡れても色が出ない白い布を使います。
雨や雪の日には濡れと泥ハネに注意
着物や袴は雨や雪で濡れるとシミなってしまう恐れがあります。ですから、まず濡らさないように気を付けることが第一です。
卒業式当日のお天気が雨や雪になりそうな場合は、着付けをする場所から学校への移動で、できるだけ外を歩かせない、という方向で考えましょう。自家用車で送迎できるか(その場合駐車場の位置も確認)、電車やバスなどの交通機関は近いかなど、小学校までの移動方法も確認しておきましょう。
小さな歩幅で内股気味で歩くのが、雨水や泥がハネるのを最小限に抑えるコツです。上手く歩けない時は親御さんが手をつないであげましょう。
濡れ、泥ハネの応急処置
濡れたり泥ハネが付いたりした時は、乾いたハンカチやタオルなどで、その部分をそっと叩いて吸い取ります。ごしごしこすると生地を傷めますので気を付けてください。
広い範囲が濡れてしまった場合は、着物や袴を脱いだらすぐに干して乾燥させ、その後専門家に相談しましょう。
着物や袴はとてもデリケート。取り返しの付けかない汚れを付ける前に、できるだけ予防や対策をしておくこと、サッと応急処置ができるようにしておくことをおすすめします。