小学校の卒業式でも最近人気の袴スタイルですが、当日、足元はどうしたらいいのでしょうか。和装の場合、着こなしの基本として履物は草履を合わせるのが正式です。しかし、袴スタイルではそれほどこだわらず、ブーツを合わせることも多くあります。小学校の卒業式ではどちらが良いのか、草履とブーツのポイントと留意点についてご紹介します。
袴スタイルは履物と袴丈のバランスが大切
袴スタイルの美しさの決め手のひとつに、袴の丈があります。実は袴もスカートのように丈の長さに違いがあり、足元が草履なのかブーツなのかによって、美しく見える袴丈が異なります。一般的には、草履はやや長めに、くるぶしが見えない程度に着付け、ブーツはやや短めの丈に着付けるのが美しいバランスとされています。ほんの少しなら着付ける位置の調整で対応できるのですが、袴は基本的には裾直しができないので、バランスのいい着姿にするためには、足元のスタイルに合わせて袴の丈を選ぶ方が賢明です。
見た目の印象としては、草履だと古典的で上品さが際立ち、ブーツはハイカラではつらつとしたイメージ…といった違いが出ます。どちらも素敵ですが、それぞれに特徴があるので、きちんと把握しておきましょう。
なお、小学校の卒業式の場合は、校舎や式典会場に入る際、草履やブーツから上履きに履き替えなければならない学校が多いと思います。また、卒業式が行われる3月は寒さが厳しい日もあり、足元の防寒対策も必要になります。なので、もちろん見た目のイメージも大事なのですが、そのあたりの実用性も注意して、足元のスタイルと袴丈を選ぶのが、小学校の卒業式でのポイントと言えるでしょう。
草履の特長と履く際のポイント
まだ成長期の初々しさに「和」ならではの雅なテイストが加わって、上品な袴姿になります。
草履のメリット
●コーディネートしやすい
どんな着物や袴に合わせても違和感なくマッチします。着物の色と合わせるなどのコーディネートも楽しめます。
●脱ぎ履きしやすい
サンダル感覚でサッと脱ぎ履きがスムーズです。
草履のデメリット
●上履きが履きにくい
草履の場合は必ず足袋を履きますが、普段の靴下と違い、足袋の上から上履きを履くのは難しいでしょう。
●裾が長い
草履の場合はブーツよりも袴丈をやや長めに着付けるため、ヒールがややある草履からペタンコの上履きに履き替えると、袴の裾が床についてしまい、引きずったり、踏みやすかったりします。特に階段などでは気をつけなければなりません。
●冷えやすい
卒業式の行われる3月はまだ寒い日が多くあります。さらに雨や雪の日には、足が濡れたり冷えたりしやすくなってしまいます。
●慣れていない
普段履きなれないものだけに、歩きにくかったり、足が痛くなりやすいかもしれません。
草履を履くポイント
●少し短めに着付ける
美しく見える袴丈は長め(くるぶしが隠れる程度の丈)ですが、上履きに履き替えることを想定して、着付ける際に袴丈が少し短めになるよう着付けるのがおすすめです。
●足への負担が軽いものを選ぶ
鼻緒が細すぎず、柔らかいものを選ぶと、足への負担を減らすことができます。
●鼻緒の部分を事前に伸ばしておく
履く前に手の指を草履に入れて鼻緒を伸ばしておきましょう。できれば何度か試し履きをしておくと、足へのフィット感も高まります。
●浅く履く
足指を浅く入れ、親指の関節あたりで鼻緒を挟むようなイメージで履くと、鼻緒と足指がこすれて痛くなるのを防げます。
●絆創膏を準備しておく
それでも足が痛くなったときのために、鼻緒が当たる部分に張って応急処置をするために、絆創膏を用意しましょう。
●防寒をしっかり
靴用のカイロを上履きの中に入れておいたり、袴の下にレギンスを履くことで足元からの冷えが緩和できます。
ブーツの特長と履く際のポイント
大正時代の女学生を彷彿とさせる、レトロで可愛いハイカラさんスタイルにコーディネートでできます。
ブーツのメリット
●歩きやすい
草履に較べるとブーツの方が履きなれているため歩きやすいでしょう。またブーツを履く場合は、足首あたりを目処に短めに着付けます。上履きに履き替えても、袴の裾を引きずらないという点もメリットです。
●身長をカバーできる
ヒールの高さがあるぶん、背が低いお嬢様でもスラリと長身かつ脚長に見え、スタイルアップが期待できます。
●防水・防寒対策がしやすい
多少の雨や雪でもブーツなら水が染みにくく濡れません。お手持ちのソックスやタイツで防寒対策できるのは助かりますね。色は黒にしておくとブーツを脱いだときも、あまり違和感が出ないでしょう。
ブーツのデメリット
●脱ぎ履きが手間
脱ぎ履きのたびに紐をほどいたり結んだりするタイプのブーツでは、脱ぎ履きに手間が掛かります。まだ小学生の女の子にとっては大変でしょう。ほどいたり結んだりは大変ですから、ジッパーがついているものが便利です。
●デザインを選ぶ
コーディネートのバランスによっては、卒業式という式典にはふさわしくないカジュアルな雰囲気になってしまうことがあります。
ブーツを履くポイント
●袴姿に合うブーツを選ぶ
編み上げのショートブーツが王道です。編み上げタイプでない場合は、足首が締まっている形のものがベター。丈は歩くときに裾が上がっても肌が見えない15センチ以上が目安です。色は黒や濃い茶などのダークカラーが無難でしょう。
ムートンブーツや乗馬ブーツのような寸胴タイプ、ブーティのようなくるぶし丈のものは式典にはふさわしくありません。
●靴紐はしっかりと結ぶ
踏んで転倒しないよう、靴紐はほどけにくい結び方にしておきましょう。
袴スタイルの足元についてご紹介しました。小学校の卒業式の場合は、上履きへの履き替え、脱ぎ履きや歩きやすさの問題、防寒対策など、注意しておきたい点がさまざまありありますので草履とブーツ、それぞれの特徴を踏まえてお選びください。