着物姿の女性を見ると「素敵だな…」とは感じるものの、なかなか着る機会がないのが現実。学生さんなどの若い世代であれば、成人式や卒業式があるくらいですよね。成人式に着る着物と言えば振袖ですが、この振袖を卒業式の袴に合わせて着てもいいのでしょうか?今回は、その点を詳しくご紹介します。
(※この記事は2017年12月20日に公開したものを加筆修正しました。)
振袖には「大振袖」「中振袖」「小振袖」の3種類がある!
「振袖」と聞いて、いちばん最初にイメージするのは、成人式で女の子たちが纏っている華やかな晴れ着ではないでしょうか。確かにそれは振袖で間違いないのですが、実は振袖には種類があります。それぞれ袖丈の長さが違うのが特徴で、長いものから「大振袖」「中振袖」「小振袖」の3種類に分けられます。振袖は未婚女性の正礼装(第一礼装)で、着物の中では最も格が高いものにあたりますが、その中でも袖丈が長いほど、より格が高くなります。
大振袖の特徴とは?
大振袖は袖丈が114cm前後あり、昔から婚礼衣装の定番とされてきました。袖が床に着くほど長いため、「引き振袖」「引き振り」「お引きずり」「お引き」などとも呼ばれます。現代でも、お色直しの衣装としてよく着用されています。
中振袖の特徴とは?
中振袖の袖丈は100cm前後で、成人式の晴れ着として着用されているものが、この中振袖になります。成人式で着られるのが定番ですが、結婚式のお呼ばれや改まったパーティーや式典への出席、結納の場面などにも適しています。
小振袖の特徴とは?
小振袖は「二尺袖」と呼ばれることがあり、その名の通り袖丈は76cm前後(=二尺)です。袖丈が短く作られているぶん、他の振袖よりは可愛らしい雰囲気で、軽くて動きやすいのが特徴です。レンタル衣装では、この小振袖と袴を合わせたものを卒業袴としているケースが主流です。
卒業式の袴に合わせる着物に決まりはあるの…?
今では女子学生が着る卒業式の衣装として定番化している袴ですが、もともとは明治期に学校の制服として作られたものです。また、その由来は宮中の女官服にあり、動きやすいという機能面ばかりでなく、優美さと礼容を兼ね備えている点からも、学問の場にふさわしいきちんとした身なりとして定着していった経緯があります。
袴に合わせる着物には、特に決まりごとはないという見解が多くを占めますが、未婚女性の正礼装(第一礼装)である振袖と袴を合わせることは、その由来や経緯から見てもふさわしい組み合わせと言えるのではないでしょうか。
袖丈が長いぶん柄の入った面積が多く、豪華な印象になる中振袖も、コンパクトな袖が軽やかで、若々しく愛らしい印象になる小振袖も、どちらを合わせても素敵な袴姿になることは間違いありません。ただし大振袖については、袖丈が地面につくほど長く、動きづらいという点があるので、袴に合わせるのは避けるのが無難でしょう。成人式用に中振袖を購入した人は卒業式の衣装として、それを活かしたコーディネートを考えてみるのも楽しいかも知れませんね♪
袴に「中振袖」を合わせる場の注意点は…?
卒業式の袴に合わせるのは、中振袖でも小振袖でもどちらでも素敵ですが、中振袖の場合は少しだけ注意点があります。事前に準備や対策が必要な内容もあるので、しっかり把握しておいてくださいね。
袖丈を考慮した立ち居振る舞いを
中振袖は袖丈が長いため、見映えはとっても豪華なのですが、袖を地面に引きずってしまったり、踏んでしまったりしやすいので、立ち居振る舞いに十分な注意が必要です。階段の昇降時は袖を腕に掛けたり、椅子に座る時は袖を膝の上に置くなどして、地面に触れないよう気をつけましょう。
着付けは和装に精通した方に頼む
中振袖はそれ1枚で着ることが前提のため、袴と合わせることを想定して作られている小振袖に比べて身丈がかなり長めです。そのため、袴と合わせる場合はおはしょりの始末などが少々難しくなってしまいます。美しく着こなすためには、着物の着付けに慣れ親しんだ、経験と技術を持った方に対応してもらうのが良いでしょう。
身長とのバランスにも配慮
長い袖丈は当然、着姿にも影響してくるので、身長がかなり低めの人の場合、袴と中振袖の組み合わせはバランスが取りづらいかも知れません。逆に身長の高い人の場合は、そのスラリとしたスタイルが活きる着こなしになるでしょう。ただし、袖と袴で縦に長いラインが強調されるので、大柄なイメージを避けたい人には向かないかも知れません。
中振袖と袴をコーディネートする際の注意点とポイント
卒業袴の場合、着物は小振袖が主流なので、中振袖を組み合わせたコーディネートは、たくさんの袴姿の学生さんの中でパッと目を引く存在となるでしょう。卒業式はこのスタイルで…と考えている方は、次の注意点とポイントを押さえておいてくださいね。
袴のみのレンタルサービスを活用して
成人式用に購入したものや、ご家族から受け継いだものなど、ご自身で中振袖が準備できる場合は、組み合わせる袴だけを借りると良いでしょう。多くのレンタルショップでは、袴だけの単体レンタルも展開されています。また、袴の着付けに必要な小物がセットで借りられる場合も多いようです。卒業式以外に着る機会のない袴を自前で準備するのはなかなか難しいので、うまく活用してみましょう。
足元のコーディネートは草履がおすすめ
袴の場合、足元には草履またはブーツを合わせます。どちらを選ぶかは、本人の好みによりますが、実は、選んだ履物によって袴の裾の長さに違いが出ます。全体がより美しく見えるよう、草履の場合はくるぶしが見えない程度に長めに着付け、ブーツの場合は足首あたりを目安に短めに着付けるのです。先述したように、中振袖は袖丈が100cm前後あるため、腕を下した状態だと袖の先端は足首あたりにまで達します。すると、ブーツを合わせた場合、袴の裾よりも振袖の袖丈が長くなってしまうという事態が起こり得ます。こうなると全体がアンバランスに見えがちなので、袴に中振袖を合わせる際は、足元に草履を選ぶことをおすすめします。
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コーディネートの基本は「同系色」か「反対色」
袴と振袖の組み合わせ方に、決まりやルールなどはありませんが、基本は配色で考えます。主なパターンは、袴と振袖を同系色で合わせるのか、反対色で合わせるのかの2通り。例えば、紺色の袴に水色の振袖、エンジ色の袴にピンク色の振袖だと同系色。緑色の袴に赤色の振袖、紫色の袴に黄色の振袖だと反対色となります。同系色の場合、全体的に調和の取れた、すっきりと上品な印象のコーディネートになり、反対色の場合、上下のメリハリが効いた、インパクトや個性を感じるコーディネートになります。
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袴の色のイメージから考えてもOK
袴と中振袖を組み合わせた場合、それぞれがコーディネート全体に占める割合はだいたい半分ずつです。そのため合わせる袴の色によって、全体の雰囲気が結構違って見えます。例えば、黒系はキリリと引き締まった大人なイメージ、白系はピュアで清楚なイメージ。青系はクールで知的、赤系は華やかで印象的といった具合です。自分のなりたいイメージに近づくためには、このような色が持つイメージや印象を考慮して袴を選ぶと良いでしょう。
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シンプルな袴で振袖の豪華さを活かす
中振袖を合わせた袴スタイルの魅力は、やはりその豪華な見た目。魅力を最大限に活かしたコーディネートにするには、あまり主張し過ぎない袴を合わせるのが良いでしょう。シンプルな単色の袴であれば、振袖が確実に映えるでしょう。また、振袖を主役にしつつも、少し明るい印象にしたい場合は、同系色のグラデーションカラーの袴がおすすめです。広範囲に柄や刺繍の入った袴や多色使いの袴などは、そちらに視線が集まりがちなので、振袖が引き立ちません。
「中振袖」を合わせた袴スタイルはこんな感じ!
長い袖に華やかな色柄が描かれた中振袖の袴スタイルは、何と言ってもゴージャスな見栄えがその魅力!みんなのコーディネートをあなたの卒業袴スタイルの参考にしてみてくださいね!
その他 中振袖を合わせた袴スタイルを見る >>
晴れ着の丸昌 横浜店では、袴のみ単品でのレンタルも行っております。色や柄などデザインのバリエーションも豊富なので、お手持ちの中振袖にマッチする一着を見つけていただけると思います。なお、袴帯は無料レンタルとなりますので、個別の準備は不要です。コーディネートに迷った場合や自信がないという場合は、中振袖のお写真をお持ちの上、店頭スタッフにご相談いただいても構いません。可能な限りのアドバイスやサポートをさせていただきます。