卒業式で女子学生や教員の方が身につける袴は「女袴(おんなばかま)」と呼ばれる種類です。この袴ならではの構造やそのメリット、着付けのポイントを通して特徴をご紹介します。
女袴(おんなばかま)の構造
明治・大正時代の女学校の制服がルーツとなっている女袴(おんなばかま)は、両脚を仕切るマチがなく、筒状のロングスカートのようなつくりで「行灯袴(あんどんばかま)」とも呼ばれます。一方、古来からある男袴や巫女さんが身につける緋袴は、両脚を仕切るマチがあり、二股に分かれたズボンのようなつくりで「馬乗袴(うまのりばかま)」と呼ばれます。
女袴は、男袴の腰の部分に当てる「腰板」がなく、前後2枚の生地は台形状の形をしています。前に5本、後ろに3本のひだ入っているのが一般的で、身に着けると裾がフレアスカートのように広がりエレガントな印象です。
女袴の着用時のメリット
女袴を着用する際は、前後の生地の上部にあるひもを腰の周りに結んで着付けます。男袴や緋袴の場合は、腰周りをカチッと支える腰板や腰板代わりの硬めの芯が入っているため、慣れないとコルセットのような着用感がありますが、女袴のひもにはそれらがないため、締め付け感なく着られるというメリットがあります。
また、スカート状になっているため裾さばきが楽で、トイレの際にわざわざ脱ぐ必要がないという点も大きなメリットとして挙げられます。
袴を美しく着付けるポイント
【1】
袴は着物の上からはくため、着物とその下に着る長襦袢は、袴の裾からのぞかないように、短めに着付ける必要があります。また、袴の脇にはスリット(=笹ひだ)があり、そこからおはしょりが見えるため、袴を着付ける前にきちんと整えておくことがキレイに着こなすポイントです。
※レンタル専門店では、袴用に丈を短くしておはしょりをしなくても良い着物(小振袖)が主流です。
【2】
着物に幅の狭い袴帯を結んだら、その上から袴を合わせます。位置はウエストよりも高く、胸高に着付けるとバランスの良いスタイルになります。袴帯は、袴と着物の間から少し見えるようにすることで、着こなしのアクセントになります。
【3】
袴の丈は、草履の場合はくるぶしあたりまでの長さにくるよう着付けるときれいです。ブーツの場合は草履よりも数センチ短く着付ける方が、可愛らしい印象になります。袴はサイズや種類によって丈の長さが異なるので、前もって身長や履物に合わせて選ぶよう気を付けるとよいでしょう。