多くの学校で卒業式が執り行われる3月。日によっては春の陽気が感じられるようになり、桜の花が咲き始める地域もありますね。「桜」は日本の春を象徴する花のひとつ。卒業式にもピッタリのモチーフです。桜柄の袴スタイルで卒業式に一層の華を添えてみてはいかがでしょう。

 

「桜」は多くの人に愛される、日本を代表する花。

毎年、その開花が待ち望まれる桜。日本人にとって桜は、数ある花の中でも、とりわけ特別な花と言えるのではないでしょうか。

奈良時代は、和歌などで「花」といえば「梅」を意味していましたが、平安時代になると国風文化の流れから「桜」が貴族たちに愛好されるようになり、「花」といえば「桜」を意味するものに変わったとされています。その人気ゆえに、桜をモチーフにした文様は衣服だけでなく食器や家具など生活用品にも広く使われました。

描かれる桜は、八重桜、枝垂れ桜、山桜などさまざまな種類があり、また、図案としても桜の花だけを描いたものをはじめ、枝に咲く様子、花びらが散る様子など、バリエーション豊富に描かれるのが桜の特徴です。

春に咲く花ではありますが、枝や葉の様子や色までしっかりと写実的に描かれた桜ではない場合(例えば、花の形が繰り返し同じパターンで配置されたものなど)や、菊や藤、松や楓など四季の植物と織り交ぜて描かれている場合は、季節を問わず着用できる柄とされます。

桜モチーフの柄

 

しなやかさが優美な「枝垂れ桜」

しなやかなに垂下がる枝に咲く花の姿が美しい枝垂れ桜。独特の優美な様子が好まれ、能装束などにも描かれた文様です。本物の枝垂れ桜の姿を写実的に描いたものの他、桜の色や形、大きさなどが大胆に意匠化されたもの、その他のモチーフと組み合わせたものなどのバリエーションも見られます。四季の植物を加えず、枝垂れ桜だけを写実的に表現している場合は、春という季節感を強く意識した文様と言え、卒業式の時期にはピッタリです。

桜柄_枝垂れ桜01  桜柄_枝垂れ桜02

 

豪華な雰囲気の「八重桜」

八重桜の文様は、重なり合った花びらが特徴です。ふっくらとボリュームのある花が鈴なりに咲く姿はひときわ華やかで、豪華な雰囲気を醸します。合わせる袴をシンプルなものにするとバランスが取れ、着物の華やかさも際立つでしょう。描かれる着物の地の色や、組み合わされるその他のモチーフなど、さまざまなタイプがあるのでお好みのデザインを選んでみてください。

桜柄_八重桜01 桜柄_八重桜02

 

愛らしく華やかな「小桜」

小さな桜花を散らした文様は可憐な印象で、若さ溢れる女子学生にピッタリのイメージです。同じ大きさ、同じ形の桜花が並んだもの、さまざまな種類の桜または他の花々のまわりに散りばめられたものなど、デザインは多種多様ですが、春の風に吹かれて桜吹雪が舞っているような雰囲気もあり、華やかな印象を与えます。

桜柄_小桜01  桜柄_小桜

 

繊細で優しげな「絞り桜」

伝統的な技法を用いて描かれる絞り文様は、繊細で優しげな表情が特徴です。中でも、絞り文様で桜を表現した絞り桜は上品さがあり、華やかな中にも落ち着いた古典的な印象を与えます。セレモニーにふさわしい品格と、女性らしい優しさを兼ね備えており、卒業式というハレの場を彩るのにピッタリの袴スタイルと言えるでしょう。

桜柄_絞り桜 桜柄_絞り桜02

 

しっとりと風情のある「舞桜」

桜は開花の美しさだけでなく、散っていく時の儚さも愛でられ、その様子は文様としても描かれてきました。卒業式を境に学生生活が終わる寂しさを、桜の花びらが宙に舞い、散っていく名残惜しさと重ねて表現すれば、日本人らしいわびさび感のある袴スタイルになりそうですね。

桜柄_舞桜01 桜柄_舞桜02