袴姿で卒業式に参加する女子学生のみなさんに、メイクのコツをお教えします!今回は「アイブロウ編」。普段、洋服を着ている時のメイクとは違った、和装ならではのポイントがあるので参考にしてみてくださいね。また、普段メイクへの応用術もお教えします♪

 

和装の時の眉メイク(アイブロウ)のコツ・その1

着物は洋服に比べると色使いが鮮やかだったり、柄の大きさや配置が大胆だったりと、華やかな印象があるため、普段通りのメイクをするとバランスがうまく取れず、不自然な見え方になってしまう場合があります。眉のメイクもそのひとつ。

和装の場合、眉メイクのコツはゆるくなだらかなアーチを描くことです。こうすることで、女性らしく柔らかな印象になり和装にマッチします。目頭より少し内側から眉頭を書き始め、眉山に角度をつけすぎないよう、かなりゆるやかなアーチを描きます。曲線よりも直線に近いイメージで描くと良いでしょう。眉尻はやや太めのままフェードアウトする感じで仕上げます。

 

 

和装の時の眉メイク(アイブロウ)のコツ・その2

和装の場合の眉メイクのコツはもうひとつあり、それは普段よりも太めに短く描くことです。眉を細くて長い曲線で描くと洋風のイメージになるので和装の時には似合いません。また、細すぎるとお顔の印象が着物の華やかさに負けてぼやけてしまうだけでなく、老け顔に見えがちです。最近は、卒業式や成人式などの和装で、しっかり和風メイクをすることは少なくなっているので、普段のメイクと極端に差をつける必要はありませんが、太め&短めを意識しておくと良いでしょう。

眉の色は、髪の毛の色と合わせた色を使うとバランス良く見えます。黒髪の人は、グレーかグレイッシュブラウン、明るめの茶髪の人は、いつも使っている色に少しグレーを足して仕上げると、落ち着きが出てしっとりとした和装の雰囲気にマッチします。

 

 

眉メイク(アイブロウ)の基本アイテム

眉メイクに使われるアイテムは、眉を整える「スクリューブラシ」、眉に色を書き足す「アイブロウペンシル」や「アイブロウパウダー」、描いた眉をキープする「アイブロウマスカラ」が基本です。

スクリューブラシは、眉の毛流れを整える時に使います。メイクの前はもちろん、眉毛をカットする前にも使うアイテムです。また、描いた眉の線や色を自然にぼかす時にも使います。

アイブロウペンシルは、眉毛の薄い部分を書き足したり、眉の輪郭を描く時に使います。主に、鉛筆のように芯を削って使うタイプと、細いスティックにセットされた芯を繰り出して使うタイプの2種類があります。鉛筆タイプは芯がやや硬めで、発色がソフトなのでぼかしやすいのが特徴です。繰り出しタイプは芯が柔らかいものが多く、色が密着しやすいのが特徴です。自分にとっての使いやすさで選ぶと良いでしょう。

アイブロウパウダーは、その名の通りパウダーですが、ほとんどの場合はプレストされた固形状になっており、ブラシにパウダーを取って眉を描きます。色の濃淡の調整がしやすく、ナチュラルに馴染んだ眉に仕上がります。色のバリエーションも豊富なので、色を混ぜて使うことも可能です。

アイブロウマスカラは、透明なタイプと色付きのタイプがあります。色付きのタイプは、髪の色や目指すイメージに合わせて眉のカラーを簡単に変えられるのが特徴です。眉毛1本1本をコーティングするように密着し、汗や皮脂にも強いので描いた眉メイクが崩れにくく、長時間キープするのに役立ちます。また、自然な立体感が出るのも魅力です。

スクリューブラシとアイブロウペンシル  アイブロウパウダーとアイブロウマスカラ

 

 

眉の理想的なバランスと整え方

眉メイクの前に、眉そのもののバランスを整えておくと、より美しく自然な眉が描けます。部分ごとの理想的なバランスは次のようになりますので、参考にして余分な毛をカットしましょう。

 眉頭

目頭の真上よりもやや内側。小鼻の幅の中に収まる位置に。

 眉山

眉の長さの2/3くらいの位置。黒目の外側と目尻の延長線の間の位置に。

  眉尻

小鼻と目尻を結んだ延長線上まで。眉頭と目尻は水平か、目尻の方がやや高い程度。

アイブロウ理想のバランス

整え方の手順は、まずアイブロウブラシで眉毛の流れを整え、眉上の不要な産毛を抜きます。次に理想のバランスを目安にアウトラインを引き、そこからはみ出した余分な長い毛をカットします。最後に、眉下の不要な毛を毛抜きで抜いて仕上げてください。

 

 

袴姿に映える眉メイク(アイブロウ)の基本ステップ

先述したコツとバランスを踏まえて、袴姿にお似合いの眉メイクの基本ステップをご紹介します。教えていただいたのは、卒業式に袴姿で出席する女子学生さんのお支度を長年担当されているヘアメイクアップアーティストのNAOKIさんです。

 

【1】

眉毛やその周辺に油分があると、ペンシルやブラシが滑ったり、描いた色がよれたりする原因になります。それを避けるため、ごく軽くフェイスパウダーをなじませておきます。このひと手間で、その後のアイテムのノリが良くなりきれいな発色で仕上がります。

 

【2】

スクリューブラシを使って、毛流れを整えます。毛の流れに沿うように眉頭から眉山にかけては上に向けて、眉山から眉尻にかけては下に向かって梳かします。クセがついている場合は、一度毛の流れに逆らって梳かしてから整えると良いでしょう。

 

【3】

アイブロウペンシルを使って、全体のアウトラインになるフォルムを描きます。眉毛の密度が薄い部分を少しずつ描き足していくイメージです。この時のポイントは、毛の流れに沿って描くこと。眉頭はハッキリし過ぎると不自然なので、少し外側の位置から眉山に向かって描き、その後、眉山から眉尻を描きます。この時、和装の眉メイクのコツである「直線に近い、ごく緩やかなカーブ」「いつもより太めに、眉尻は短くフェードアウト」を意識しましょう。

アイブロウ手順_ペンシル

 

【4】

アイブロウパウダーを使って、色の濃淡をつけていきます。手順としては、まず眉山から眉尻を、その次に眉頭から眉山までパウダーを乗せます。眉頭は「薄く」、中央は「濃く」、眉尻は「やや濃く」というグラデーションを意識すると自然な眉に仕上がります。

アイブロウ手順_パウダー

 

【5】

スクリューブラシを使って、ペンシルとパウダーの質感をなじませるように眉全体を自然な感じにぼかします。この時、眉尻はぼかしすぎるとフォルムが崩れるので、軽くなじませるだけで十分です。

 

【6】

アイブロウマスカラを、まず毛流れと逆向きにつけます。こうすることでマスカラの密着度が高まり、崩れにくくなります。次に眉頭から毛流れに沿ってもう一度マスカラをつけて仕上げます。

 

 

普段の眉メイクへの応用術

今回ご紹介した袴姿に似合う眉メイクは、最近のトレンドである「平行太眉」とほぼ同じフォルムです。

和装メイクのコツを押さえるため、やや短めを意識して描きましたが、この長さを理想のバランスに合わせて描けば、そのまま普段の眉メイクになります。ただし、眉尻が長く下がりすぎると困り顔に見えてしまうので、眉尻の最後が眉頭より下にこないよう注意しましょう。